光と愛・郡司奨学基金

「夢をかなえる力」-奨学生の体験集が本になりました(2010年08月)

 児童養護施設から大学や専門学校に進学した若者が勉学や生活の体験をつづったエッセイ集『夢をかなえる力―児童養護施設を巣立った子どもたちの進学と自立の物語』が8月、明石書店から出版されました。虐待の増加など子どもの人権擁護が社会問題化している中、児童養護施設に暮らす子どもたちへの理解を深めてもらうため、昨年春に事業団が刊行した私家版の体験集『I have a dream』をもとに大幅加筆しました。

 執筆者は、事業団が運営する読売光と愛・郡司ひさゑ奨学金を受け、この11年間に全国の施設で高校を卒業し、進学した男女42人です。学生のほか、すでに社会に出て看護師や保育士、美容師、エンジニア、大学の研究者などとして活躍しているOBの方も多数寄稿してくれました。両親の病気や離婚、虐待などさまざま理由から家庭で暮らせず、児童養護施設で育った子どもたちの大学等への進学率は、一般進学率の五分の一に過ぎません。

 本書にはそうした逆境を乗り越えて進学し、自分の将来の夢を果たすため、苦学しながら一生懸命に生き抜く若者たちの日々の喜怒哀楽、自立の苦労と喜び、社会に対する思いなどがつづられています。また、自分で選んだ進路で思い切り学べる幸せやかけがいのない友や先生との出会い、これまでを支えてくれた人たちへの感謝の思い。さらには同じ境遇に育つ後輩たちに、トラブルを乗り越える知恵や、道を切り開く具体的なアドバイスを寄せる心のやさしさ、強さは胸を打つものがあります。四六版、244ページ。全国の書店でお求めください。

 

本の中である奨学生OGは下記のように訴えています。

「私たちは、どんな逆境でもめげない強さを持っています。でも施設を巣立つとき、社会で自立していける社会資源は持っていません。だから、施設の先生、学校の先生、地域の人たち、全ての大人たちに言いたい。

私たちに、希望を失わず、自分の可能性に挑戦できるチャンスを下さい。私たちは、そのチャンスを大切にします。持前の強さを武器にして、多少のことにはくじけません。このチャンスがあれば、たくさんのことを経験することができます。そうしたら、人間関係を広げて、自分を愛せる、他人の苦しみを和らげられる心豊かで自立した人間として、社会の中で生きていけるのです。」

 奨学生が体験をつづり刊行された本

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