光と愛・郡司奨学基金

奨学生の報告―逆境にめげず日々成長(2010年08月)

 児童養護施設を出て、さらに大学や専門学校に進学して学ぶ読売光と愛・郡司ひさゑ奨学生やOBから届いた便りの一部を紹介します。アルバイトに追われながらの勉強は大変ですが、みんな大きな夢に向かって日々、たくましく成長しています。(  )内は、在籍学校、出身施設の所在地 性別<男♂ 女♀>

 

介護の仕事は私の天職です (介護士 大阪 ♀)

イラスト:自転車

 社会に出て、介護のお仕事をして3年目の今、色々と思い、感じる事があります。施設にいる時は、親のいない施設で育った人間が社会に受け入れてもらえるか不安でしたが、実際に社会に出るとそのような事はまったく関係なく、不安はすぐになくなりました。一生懸命ひた向きに仕事をすれば必ず評価してもらえ、受け入れてもらえます。

 社会に出て、多くの人に出逢い、刺激される自分が居ます。過去は、自分自身を積み重ねてきた大切な時間ではありますが、そこに心や気持ちを縛り付け、なかなか前に進めずにいれば、何も得ることはできないのだと感じます。 介護の仕事は私にとって天職で、辛い事やしんどい事も沢山ありますが、「ありがとう」の言葉に勇気を、元気をもらいます。

 職場の規模は小さいですが、利用者様一人ひとりと親近感を持ち、仕事ができます。中には真剣に「孫と結婚してくれないか?」とお願いしてこられる方や、私の手を握って、寝てしまう方など色々な人がいて、ほっこりすることが沢山あります。何十年と生きて来られた方々の最終ステージ、一回でも多く、笑顔で過ごして頂けるよう、寄り添う気持ちを忘れず、私自身も笑顔で毎日を送りたいと思います。
 

 

イラスト:読書

 家族の力になりたい! (大学総合福祉学部4年  千葉 ♀)

  大学生活も残りわずか。福祉の勉強を主にしてきたので、自分の生い立ちとかぶってしまい、辛いときもたくさんありました。そんな時に背中を押してくれたのは両親(里親)でした。中学、高校時代も不登校になってしまいそうな時がありましたが、ずっと見守ってくれていた両親には感謝の気持ちでいっぱいです。生い立ちは変えることはできないのだから、この生い立ちも含めて私の人生そのものなのだと、今では考えられるようになりました。

 私には中学三年生の里子の弟がいますが、弟をみていると昔の自分を思い出します。同じようなことで困っていたら、私も家族として弟を支えていきたいと思っています。これから先は助けられてばかりでなく、家族の力になれるように成長していきたいと思います。

 

刺激いっぱい、感性磨く日々 (大学芸術学部1年 東京 ♀)

 入居した学生寮で友達もでき、別の学科の人と話をしたり、遊んだり、教えてもらったり、色々な刺激を受けています。志望のCGクリエーターになるには感性や発想が要求されるので、最高の大学生活を送れる場所だと思います。授業は、ほとんど専門的なことや実技なので課題をこなすのが大変。高校生生活がどれほど楽だったか! 

  しかし、課題を提出しおえた時の達成感、現場でアニメーションを作っていた先生方に講評会でアドバイスしてもらえる嬉しさ、やりたいことが学べる楽しさ、この3つを考えると、入学でき本当によかった。メリハリある生活で技術や感性を磨き、卒業制作時には人を驚かす作品を作りたいと思っています。

イラスト:飲み物

 

 

 出身施設で学習ボランティア (大学社会福祉学部3年 京都 ♀)

 大学生活三年目を迎え、授業時間が減り、空き時間が増えたため、以前から続けているガイドヘルパーのアルバイトをする時間も増えました。講義も大切ですが、実際に自分が経験することで、さらに理解が増すように感じます。また、空き時間を利用して、以前生活していた児童養護施設で、学習ボランティアとして子どもたちに勉強を教えています。

 自分が生活していた頃は、集団生活の中でイライラすることも多く、職員などに対して冷たい態度をとることも多かったのですが、今、少し距離を置いた状態で関わると、当時よりも周りをよく見ることができ、とても楽な気持ちで関われるようになりました。また、一度離れて施設での生活を振り返ると、不安や不満、葛藤など、子どもたちが抱えている気持ちがよくわかり、中高生の話にも耳を傾けられるようになりました。自分の経験を活かし、今後も関わっていけたらと思います。

イラスト:コーヒー

 

外科病棟で働いています(看護師 岩手 ♀)

 外科病棟に配属され、手術前後の患者様のケア、化学療法を受ける方や癌の終末期の方の看護を中心に働いています。やっと仕事の流れも覚えましたが、三交代制なので生活リズムを作るのが難しく、昼夜逆転してしまう日も。その中で患者様やご家族に、「あなたの笑顔を見ると安心する、励まされる」と言われると、初心を思い出し、仕事の楽しさ、やりがいを強く感じます。

 児童養護施設から社会へ巣立つ子どもたちの支援をしている団体にもボランティアで参加しました。施設OBだからこそ出来ることがあるのではと思ったからです。子どもたちに勇気と自信をあげられたらと思っています。 

  

イラスト:ハードル

研究員として大学に赴任(大学院生 東京 ♀)
 

 4月から大学院を休学し、特別研究員としてM大学に赴任しました。環境が変わり、緊張の連続でしたが、ようやく慣れてきました。良き同僚や先輩にも恵まれ、地域医療・福祉の地域発展プロジェクトのメンバーとして、調査や統計処理をし、論文を書いています。福祉・医療現場で働く方との勉強会に参加し、医療崩壊など地方の困難な現状に驚いたり、東京中心的な考え方を覆されたり、新しい体験の連続です。

 乳児院、施設育ちの私にとって東京を離れるのは勇気がいるものでした。戻る場所がないように思えて怖かったからです。でも本当の家族のように接してくれる先生のご一家が、「いつでも帰っておいで」と送り出してくれました。その“家族”と離れて初めて、ダメな点も含め、そのままの自分を愛してくれていることに気付けました。そしたら何だか無性に自分が好きになり、自分の幸せを考えてみたくなりました。いつも「自分はダメな人間で、もう死んだ方がいい」と否定的だった私の大きな変化でした。将来の不安に耐え、歩き続けてこられたのは大勢の方が支えてくださり、希望をなくさないできたからです。これからは、ほかの人の希望の光を守れる人になれればいいなと思っています。