事業報告

本文です

光と愛・郡司奨学基金


「夢をかなえる力」-奨学生の体験集が本になりました

 児童養護施設から大学や専門学校に進学した若者が勉学や生活の体験をつづったエッセイ集『夢をかなえる力―児童養護施設を巣立った子どもたちの進学と自立の物語』が8月、明石書店から出版されました。虐待の増加など子どもの人権擁護が社会問題化している中、児童養護施設に暮らす子どもたちへの理解を深めてもらうため、昨年春に事業団が刊行した私家版の体験集『I have a dream』をもとに大幅加筆しました。

 執筆者は、事業団が運営する読売光と愛・郡司ひさゑ奨学金を受け、この11年間に全国の施設で高校を卒業し、進学した男女42人です。学生のほか、すでに社会に出て看護師や保育士、美容師、エンジニア、大学の研究者などとして活躍しているOBの方も多数寄稿してくれました。両親の病気や離婚、虐待などさまざま理由から家庭で暮らせず、児童養護施設で育った子どもたちの大学等への進学率は、一般進学率の五分の一に過ぎません。

 本書にはそうした逆境を乗り越えて進学し、自分の将来の夢を果たすため、苦学しながら一生懸命に生き抜く若者たちの日々の喜怒哀楽、自立の苦労と喜び、社会に対する思いなどがつづられています。また、自分で選んだ進路で思い切り学べる幸せやかけがいのない友や先生との出会い、これまでを支えてくれた人たちへの感謝の思い。さらには同じ境遇に育つ後輩たちに、トラブルを乗り越える知恵や、道を切り開く具体的なアドバイスを寄せる心のやさしさ、強さは胸を打つものがあります。四六版、244ページ。全国の書店でお求めください。

 写真キャプション 奨学生が体験をつづり刊行された本

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(2010年08月)

読売光と愛・郡司ひさゑ奨学基金の設立

全国の児童養護施設から大学や短大、専門学校への進学をめざす生徒を支援するため、事業団では1998年に、「読売光と愛・郡司ひさゑ奨学基金」を設立しました。これは97年8月に「進学のかなわぬ子供たちのために役立てて」と遺言し、亡くなられた郡司ひさゑさん(東京・渋谷)の寄贈遺産に基づくものです。毎年、作文を中心とした選考で十人前後の生徒に奨学金を支給しています。募集要項は8月中旬ごろに発表し、年末までに採用予定者を内定します。児童養護施設で育ててもらったことに感謝し、将来は、教育や介護関係の職につきたいと希望する奨学生が多く、夢の実現に向けて一生懸命勉強しています。

しかし、全国に558か所ある児童養護施設からの奨学金助成の応募は毎年百人近くあるのに、資金的制約から奨学生に選ばれるのは一割程度なのが実情です。元々、家族の支援が期待できないうえ、高校を卒業すると施設を出ていかなければならない子供たちにとって、進学の道はとても厳しいものがあります。事業団では、逆境にめげず熱い進学の志を持つ子供たちのために、足ながおじさん・おばさんとして基金に資金援助してくださる方を募っています。

基金にご協力いただける方は、事業団にご連絡ください
(電 話03-3216-4921、E-Mail:hikari-ai@yomiuri.com

 

イラスト:「希望の家」園児

イラストキャプション イラスト・「希望の家」園児

(2003年04月)

奨学生の報告―逆境にめげず日々成長

 児童養護施設を出て、さらに大学や専門学校に進学して学ぶ読売光と愛・郡司ひさゑ奨学生やOBから届いた便りの一部を紹介します。アルバイトに追われながらの勉強は大変ですが、みんな大きな夢に向かって日々、たくましく成長しています。(  )内は、在籍学校、出身施設の所在地 性別<男♂ 女♀>

 

学んだ忍耐力、役立っています (大学医療保健学部3年 宮崎 ♀)

イラスト:自転車

一日一日があっという間に過ぎていく中で、忘れてはいけないものは夢だと最近になりはっきりと思うようになりました。大学では、夏から始まる半年間の長期実習に向けて、演習・講義の毎日です。大学が終わったらアルバイトへ向かい、それから帰宅。帰ったら机の上に積み重ねられている課題のその日の計画分と、翌日の分の出来るところまでをこなし、1日が終わります。 このような多忙な中でも夢を捨てずに居られるは、兄弟や施設でお世話になった方々の存在のお陰だと強く思います。

課題に追われる日々を嫌になるときもあります。「ゆっくりしたい」「勉強をしたくない」「バイトに行きたくない」など思うことも少なくありません。しかし、このように思った時でも、やらなければいけないことを投げ捨てずやり終えている自分がいます。たぶん、施設の生活の中で忍耐力を自然と養っていたのではないかと思います。昔、先生や保母さんに何度も「忍耐力」という言葉を聞かされました。ただの我慢だとその頃は思っていましたが今、それはこういうことなんだと分かり、感謝しなくてはならないことに気付かされました。

 

イラスト:読書

盛りだくさんにサークル活動 (大学理学部2年生 長崎 ♂)

大学生になって一年がたち、いろいろな経験ができました。サークル活動で子ども向けの理科実験教室を開いたり、受験生をサポートしたり、地域と大学の祭に向けて活動したりしています。他の環境系サークルの田植え・稲刈り・お酒造りや筍堀りなどの企画にも参加、たくさんの人と出会い、少し成長できたと感じます。

本業の数学は最初、高校数学との違いに戸惑いましたが、だんだん慣れきて、わからないことも多くありながらも楽しめています。また、昨年冬から塾講師のアルバイトを始めました。そんな忙しい中で短歌や俳句を作る時間が自分と向き合ういい機会になっています。自分の意志のままに活動できる今の環境に感謝し、もっと謙虚に、素直に、自己を練磨したいと思います。

 

動けば何かが変わる! (大学人間福祉学部1年 兵庫 ♀)

イラスト:コーヒー

友達もできて、少しずつですが大学生活にも慣れてきました。自分が行きたかった学科に入学でき、毎日とても楽しいです。授業では、NPO論やボランティア論、手話といった様々なことを学べ、毎日刺激を受けています。授業以外の活動では、文科省が支援してくださっているプログラムの中の、学生が運営しているフェアトレードショップに参加しています。最近では、10・11月のフォーラムの企画の代表を任せて頂くことになりました。とても責任がありますが、先輩方や先生方に支援していただきながら、成功するように頑張っていきたいと思います。

また、先輩が担当していた作業所を引き継ぐことになりました。実際に現場の方と関われる事がとても楽しみです。もう一つの活動で、アジア人女性を支援する団体にも参加しています。女性の国の手作り料理をカフェで扱っています。毎日色んな所で刺激を受けています。自分から動けば何かが変わる!と感じました。 

 

刺激いっぱい、感性磨く日々 (大学芸術学部1年 東京 ♀)

イラスト:飲み物

入居した学生寮で友達もでき、別の学科の人と話をしたり、遊んだり、教えてもらったり、色々な刺激を受けています。志望のCGクリエーターになるには感性や発想が要求されるので、最高の大学生活を送れる場所だと思います。授業は、ほとんど専門的なことや実技なので課題をこなすのが大変。高校生生活がどれほど楽だったか! 

しかし、課題を提出しおえた時の達成感、現場でアニメーションを作っていた先生方に講評会でアドバイスしてもらえる嬉しさ、やりたいことが学べる楽しさ、この3つを考えると、入学でき本当によかった。メリハリある生活で技術や感性を磨き、卒業制作時には人を驚かす作品を作りたいと思っています。

 

出身施設で学習ボランティア (大学社会福祉学部3年 京都 ♀)

大学生活三年目を迎え、授業時間が減り、空き時間が増えたため、以前から続けているガイドヘルパーのアルバイトをする時間も増えました。講義も大切ですが、実際に自分が経験することで、さらに理解が増すように感じます。また、空き時間を利用して、以前生活していた児童養護施設で、学習ボランティアとして子どもたちに勉強を教えています。

自分が生活していた頃は、集団生活の中でイライラすることも多く、職員などに対して冷たい態度をとることも多かったのですが、今、少し距離を置いた状態で関わると、当時よりも周りをよく見ることができ、とても楽な気持ちで関われるようになりました。また、一度離れて施設での生活を振り返ると、不安や不満、葛藤など、子どもたちが抱えている気持ちがよくわかり、中高生の話にも耳を傾けられるようになりました。自分の経験を活かし、今後も関わっていけたらと思います。

 

外科病棟で働いています(看護師 岩手 ♀)

外科病棟に配属され、手術前後の患者様のケア、化学療法を受ける方や癌の終末期の方の看護を中心に働いています。やっと仕事の流れも覚えましたが、三交代制なので生活リズムを作るのが難しく、昼夜逆転してしまう日も。その中で患者様やご家族に、「あなたの笑顔を見ると安心する、励まされる」と言われると、初心を思い出し、仕事の楽しさ、やりがいを強く感じます。

児童養護施設から社会へ巣立つ子どもたちの支援をしている団体にもボランティアで参加しました。施設OBだからこそ出来ることがあるのではと思ったからです。子どもたちに勇気と自信をあげられたらと思っています。 

 

イラスト:ハードル

研究員として大学に赴任(大学院生 東京 ♀)
 

4月から大学院を休学し、特別研究員としてM大学に赴任しました。環境が変わり、緊張の連続でしたが、ようやく慣れてきました。良き同僚や先輩にも恵まれ、地域医療・福祉の地域発展プロジェクトのメンバーとして、調査や統計処理をし、論文を書いています。福祉・医療現場で働く方との勉強会に参加し、医療崩壊など地方の困難な現状に驚いたり、東京中心的な考え方を覆されたり、新しい体験の連続です。

乳児院、施設育ちの私にとって東京を離れるのは勇気がいるものでした。戻る場所がないように思えて怖かったからです。でも本当の家族のように接してくれる先生のご一家が、「いつでも帰っておいで」と送り出してくれました。その“家族”と離れて初めて、ダメな点も含め、そのままの自分を愛してくれていることに気付けました。そしたら何だか無性に自分が好きになり、自分の幸せを考えてみたくなりました。いつも「自分はダメな人間で、もう死んだ方がいい」と否定的だった私の大きな変化でした。将来の不安に耐え、歩き続けてこられたのは大勢の方が支えてくださり、希望をなくさないできたからです。これからは、ほかの人の希望の光を守れる人になれればいいなと思っています。
 

(2010年08月)

奨学生募集ー児童養護施設などの在籍者対象

 読売光と愛の事業団は、全国の児童養護施設などの在籍児童で、来春に大学、短大、専門学校への進学を目指す奨学生を募集します。故・郡司ひさゑ氏寄託の「読売光と愛・郡司ひさゑ奨学基金」によるもので、応募作文を主に審査し、計10人程度に卒業までの毎年、奨学金(授業料を基準に年額50万円上限)を無償で助成します。

募集要項や申込書は、各児童養護施設に送付済みです。締め切りは9月30日(木)(当日消印有効)
問い合わせは、読売光と愛の事業団・奨学基金係(電話03・3216・4921)まで。9月21日以降は事務所移転のため、電話03-6226-7633まで

       ◇第13回読売光と愛・郡司ひさゑ奨学生 募集の概要◇

【基金の目的】
児童養護施設などに入所する児童に対して、高校卒業後に進学する際の学費を援助し、社会的自立をバックアップする。バックアップすることで、全国の施設で暮らす児童を励まし、児童福祉の向上をはかる

【助成対象】
・全国の児童養護施設に在籍する児童で、2011年春に高校卒業が見込まれ、現役で大学、短期大学、専門学校の入学試験に合格した者。その中でも特に経済的援助を必要とし、向上心旺盛で、予定年限の修学が十分可能な者を対象とする。
・大学生、短大生、専門学校生の合計で10名程度。原則として他機関からの奨学金を受けない者。ただし日本学生支援機構や、雨宮児童福祉財団など一時的なもの、小額のものは併給可

【助成方法】
原則として進学した各学校の授業料を主基準とした学費で、年額50万円を限度とする
返済の義務はないが、奨学生はレポート提出などを通じて児童福祉の向上に協力する
奨学金は出身施設を通じて支給し、施設は責任を持って奨学生の指導にあたる

【助成期間】
進学した各学校の1年次から最短の卒業年次まで。退学・休学・留年の際は助成を打ち切る。ただし、病気や事故などやむを得ない場合は事情を考慮する

【申請書類】
 ・本人申込書・施設長申請書・申請児童の作文・成績表・入学志望校案内書・入所施設のパンフレット

【締め切り】
 2010年9月30日(木)

【選考方法】
 事業団が委嘱する選考委員会で作文を中心に審査・選考を行ない、決定する

【決定通知】
  2010年12月末までに選考の内定結果を通知し、入学をもって正式な給付決定とする

【書類提出先】
 〒100-8055(住所不要)読売光と愛の事業団・奨学基金係
 電話03-3216-4921 fax03-3216-4981

募集要項はこちらからダウンロードできます(PDFファイル:1.15MB)


(2010年08月)

児童施設から12回郡司奨学生10人が進学

 全国の児童養護施設から大学や専門学校への進学をめざす生徒に、学費を助成する読売光と愛・郡司ひさゑ奨学基金は、全国102人の応募の中から10年度進学の第12回奨学生10人(大学6、短大2、専門学校2)が決まり、3月末に読売新聞東京本社で採用式・交流会が行われました。

 今年の新奨学生には、家裁調査官として子どもたちの味方になりたい、将来は社会起業家になって、発展途上国に学校や施設を作りたいという女性。水族館の飼育員、アニメのクリエーターになって、みんなをいやしたい、という男性など、ユニークな希望進路も目立ちます。

 交流会には現役、OBも含め全国から計14人が参加。先輩奨学生から、ストレスをためない生活の知恵、家計簿の活用法、一か月1万円の食費で済ます裏技などが伝授されると、新奨学生もすぐにうちとけ、互いの趣味なども披露しあって、なごやかなひと時を過ごしました。

写真:郡司ひさゑさんの肖像を囲み記念撮影する奨学生たち
写真キャプション 郡司ひさゑさんの肖像画を囲み記念撮影する奨学生たち

(2010年03月)

郡司奨学生の進学先

 これまでに郡司ひさゑ奨学金を受けて、進学した児童養護施設出身の生徒は、130人を超えています。福祉、教育、看護方面の志望が目立ちますが、理工系に進んで将来はビルゲーツのようにITのベンチャー企業を起こしたい、海外に出て世界の難民や環境保護のために働きたいという若者もいます。一方では、料理やお菓子など食の分野や、理美容、ペットビジネスなどの専門学校に進む人もいて、多彩な夢の実現に向け、みんながんばっています。

近年の郡司奨学生進学先
2010年度進学 群馬大学教育学部
  東京工芸大学芸術学部
  慶應義塾大学法学部
  相模女子大学栄養科学部
  同志社大学社会学部
  関西学院大学人間福祉学部
  白梅学園短期大学
  美作大学短期大学
  日本ペット&アニマル専門学校
  大分中央看護学校
   
2009年度進学 東京学芸大教育学部
  大阪大谷大学文学部
  九州大学理学部
  上智短期大学
  尚絅短期大学
  東九州短期大学
  郡山准看護師高等専修学校
  神田外語学院
  京都府立看護学校
   
2008年度進学 東京農業大学大学院
  城西国際大学総合福祉学部
  東洋大学文学部
  東京福祉大学社会福祉学部
  仏教大学社会福祉学部 
  藍野大学医療保健学部
  国際学院短期大学
  鹿児島医療技術専門学校
  土浦協同病院付属看護専門学校
  御茶ノ水美術専門学校
   
2007年度進学 明治学院大経営学部
  城西大学経営学部
  静岡大学情報学部
  神戸芸術工科大学
  淑徳短期大学
  沼津工業高等専門学校
  国際フード専門学校
  富山ビューティカレッジ
  姫路福祉保育専門学校
  福岡カレッジオブビジネス
  福岡国際医療福祉学院
   
2006年度進学 一橋大学法学部
  東海学園大学経営学部
  九州大学21世紀プログラム
  琉球大学法文学部
  東京農業大学短期大学
  常葉学園短期大学
  東京エアトラベル・ホテル専門学校
  横浜医療センター附属看護学校
  日本農業実践学園
  愛知調理専門学校
  山口県立萩看護学校
(2010年03月)

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