協賛の本間一夫文化賞に全盲のソプラノ歌手・塩谷靖子さん(2024年11月)
事業団が協賛し、日本点字図書館(東京都新宿区、長岡英司理事長)が視覚障害者の文化や福祉の向上に貢献した個人・団体に贈る「本間一夫文化賞」の第21回受賞者に、全盲のソプラノ歌手でエッセイストの塩谷靖子(のぶこ)さん(81)(東京都板橋区)が選ばれ、11月9日に同図書館で表彰されました。
塩谷さんは8歳ごろに先天性緑内障のため失明。大学で数学を学び、日本ユニバック社(現・B I P R O G Y )に就職しました。プログラマーとして点字変換用ソフトの開発に尽力しました。結婚、子育てを経て、盲ろう者のための通訳手段である指点字の通訳者として活動した後、42歳で以前から好きだった声楽の勉強を開始。各種コンクールで入選、入賞を果たし、キャリアを確立させました。現在も現役で活動する一方で、多彩な人生経験を踏まえた文筆活動にも取り組んでいます。選考委員会では、全盲であることをハンディキャップとせず、努力によってマルチな才能を開花させ、ほかの障害者の希望となっている、と評価されました。
表彰式では、塩谷さんは「身に余る賞をいただき、ありがとうございました。これまで好きなことに精を出してきただけでしたがそれを評価して頂き光栄です。応援して下さった方々、協力してくださった方々、大勢の皆様のおかげだと感謝しています」などと受賞の喜びを話していました。このほか、大勢の出席者を前にビショップ作曲「埴生の宿」、シューベルト作曲の「夕映えの中で」など全6曲について歌声を披露=写真=。中でも自身が作詞した「いとしのマイ・ウェイ」は自らの半生を振り返り、亡き夫などへの感謝を気持ちを込めて歌い上げ、大きな感動を呼んでいました。